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私が薄毛の壁を乗り越え美容院へ行けた日
30代後半から、私の頭頂部は少しずつ寂しい状態になっていきました。それ以来、美容院に行くのが怖くなり、気づけばセルフカットでごまかす日々が2年以上も続いていました。鏡を見るたびに落ち込み、友人との集まりもどこか楽しめない。そんな自分を変えたくて、ある日、私は一つの決心をしました。「ちゃんとした美容院に行こう」と。私が選んだのは、自宅から少し離れた場所にある、個室を備えたプライベートサロンでした。予約サイトの備考欄に「頭頂部の薄毛が気になります。目立たない髪型を相談したいです」と書く指は、震えていました。当日、心臓をバクバクさせながらお店のドアを開けると、穏やかな笑顔の男性美容師さんが出迎えてくれました。個室に通され、二人きりになると、彼は「ご来店ありがとうございます。備考欄、拝見しました。お悩み、聞かせていただけますか?」と優しく切り出してくれたのです。その一言で、私の心の壁は一気に崩れ落ちました。私は、今まで誰にも言えなかったコンプレックスを、堰を切ったように話しました。彼は真剣な眼差しで全てを受け止め、「大丈夫ですよ。カットで印象はかなり変えられます。一緒に考えていきましょう」と言ってくれたのです。彼は、トップにレイヤーを入れてふんわりと高さを出し、分け目をぼかすようなスタイルを提案してくれました。仕上がった自分の姿を鏡で見たとき、涙が出そうになりました。あれほど悩んでいたつむじが、魔法のように目立たなくなっていたのです。帰り道、ショーウィンドウに映る自分を見て、私は何年かぶりに自然な笑顔になれました。あの日、ほんの少しの勇気を出したことで、私の世界は色鮮やかに変わったのです。
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私の抜け毛は隠れ貧血が原因だった
シャワーを浴びるたび、排水溝に溜まる髪の毛の量に恐怖を感じるようになりました。ドライヤーをかけると、床にはらはらと落ちる抜け毛。もともと髪が細く、量も多い方ではなかったけれど、明らかにここ数ヶ月で分け目が目立つようになってきたのです。まだ30代前半、どうして?ストレスだろうか、それとも遺伝?不安な気持ちで皮膚科のドアを叩きました。しかし、頭皮に異常は見られないとのこと。途方に暮れていた時、ふと自分の体調を振り返りました。そういえば最近、朝起きるのが異常に辛い。階段を上るとすぐに息が切れるし、なんだか集中力も続かない。もしかして、と思い内科を受診し、血液検査を受けたのです。結果を聞いて、私は驚きました。一般的な健康診断で測るヘモグロビンの数値は基準値内だったものの、体内の貯蔵鉄を示す「フェリチン」の値が極端に低かったのです。医師から告げられたのは「潜在性鉄欠乏症」、いわゆる「隠れ貧血」でした。私の抜け毛と体調不良は、この深刻な鉄分不足が原因だったのです。その日から、医師の指導のもとで鉄剤の服用と食生活の改善を始めました。レバーや赤身肉、ほうれん草や小松菜を意識して食べる日々。変化はすぐには現れませんでした。しかし3ヶ月が過ぎた頃、まず体調が劇的に改善しました。朝すっきりと起きられるようになり、疲れにくくなったのです。そして半年後、ふと鏡を見て気づきました。分け目の地肌が、以前ほど目立たなくなっている。産毛のような新しい髪が、力強く生えてきているのが分かりました。鉄分が、私の髪と体を取り戻してくれたのです。あの日の決断がなければ、私は今も一人で悩み続けていたでしょう。
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薄毛対策は食事から鉄分を上手に摂るコツ
薄毛予防や改善のために鉄分が重要だと分かっても、ただやみくもに鉄分が多いとされる食品を食べれば良いというわけではありません。鉄分を効率よく体に吸収させ、髪の健康に繋げるためには、少しの知識と工夫が必要です。まず知っておきたいのは、食品に含まれる鉄分には二種類あるということです。一つは、肉や魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」。もう一つは、野菜や豆類、海藻などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」です。この二つの大きな違いは、体内への吸収率。ヘム鉄の吸収率が15〜25%であるのに対し、非ヘム鉄はわずか2〜5%と、非常に低いのが特徴です。そのため、効率を考えるなら、レバーや赤身の牛肉、カツオやマグロといったヘム鉄を多く含む食品を意識して食事に取り入れるのがおすすめです。しかし、非ヘム鉄も無駄ではありません。一緒に摂る栄養素を工夫することで、その吸収率を格段にアップさせることができるのです。その最強のパートナーが「ビタミンC」と「動物性タンパク質」です。例えば、ほうれん草や小松菜のおひたしにレモン汁をかけたり、ひじきの煮物に鶏肉を加えたりするだけで、非ヘム鉄の吸収率はぐんと高まります。逆に、コーヒーや緑茶、紅茶に含まれる「タンニン」は鉄分の吸収を妨げるため、食事中や食後すぐに飲むのは避けた方が賢明です。日々の食事の中で、これらの「組み合わせ」を少し意識するだけで、あなたの体と髪はきっと喜んでくれるはずです。
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薄毛対策の鉄分サプリ!賢い選び方と注意点
食事だけで十分な鉄分を補うのが難しいと感じる時、サプリメントは心強い味方になります。しかし、ドラッグストアには様々な種類の鉄分サプリが並んでおり、どれを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。薄毛対策として賢くサプリを利用するためには、選び方のポイントと注意点を押さえておくことが大切です。まず、サプリに含まれる鉄分の種類に注目しましょう。食事と同様に、サプリにも動物由来の「ヘム鉄」と植物由来の「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は吸収率が高く、胃腸への負担が少ないとされる一方、価格は比較的高めです。非ヘム鉄は安価ですが、吸収率が低く、人によっては胃のむかつきなどを感じることがあります。自分の体質や予算に合わせて選ぶと良いでしょう。次に、一緒に配合されている成分もチェックしたいポイントです。鉄の吸収を助ける「ビタミンC」や、赤血球の形成を助ける「葉酸」「ビタミンB12」などが一緒に配合されている製品は、より効率的な摂取が期待できます。しかし、最も重要な注意点は「自己判断での過剰摂取は避ける」ことです。鉄分は、不足するのも問題ですが、体内に過剰に蓄積すると、胃腸障害を引き起こしたり、活性酸素を発生させて細胞を傷つけたりするリスクがあります。特に、隠れ貧血などを疑う場合は、まず医療機関で血液検査を受け、自分に本当に鉄分が不足しているのか、どのくらい補給する必要があるのかを医師に判断してもらうことが最善の道です。サプリメントはあくまで補助的なもの。正しい知識を持って、安全に活用することが何よりも重要です。