薄毛対策の押さえておきたいポイント

2020年5月
  • 男性ホルモンと皮脂の関係薄毛への影響

    AGA

    男性ホルモンと皮脂の分泌には密接な関係があり、これが頭皮環境や薄毛に影響を与えることがあります。皮脂は、頭皮を乾燥から守り、バリア機能を維持するために必要なものですが、過剰に分泌されると様々なトラブルを引き起こす可能性があります。男性ホルモン、特にテストステロンやジヒドロテストステロン(DHT)は、皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促進する働きがあります。思春期以降に男性ホルモンの分泌が活発になると、顔や頭皮の皮脂量が増え、ニキビができやすくなったり、頭皮が脂っぽくなったりするのはこのためです。頭皮の皮脂が過剰に分泌されると、いくつかの問題が生じます。まず、毛穴が詰まりやすくなります。過剰な皮脂や古い角質、ホコリなどが毛穴に詰まると、炎症を引き起こしたり、雑菌が繁殖しやすくなったりします。これが、脂漏性皮膚炎の原因となり、フケやかゆみ、赤みといった症状が現れることがあります。脂漏性皮膚炎が慢性化すると、毛根にダメージを与え、健康な髪の成長を妨げ、抜け毛や薄毛(脂漏性脱毛症)を引き起こす可能性があります。また、過剰な皮脂は、頭皮の常在菌であるマラセチア菌の栄養源となります。マラセチア菌が異常増殖すると、皮脂を分解する過程で刺激物質を生成し、これが頭皮の炎症をさらに悪化させるという悪循環に陥ることがあります。AGA(男性型脱毛症)と皮脂の過剰分泌が併発すると、薄毛の進行がより速まる可能性も考えられます。AGA自体は男性ホルモンが毛乳頭細胞に作用して起こりますが、頭皮環境が悪化することで、さらに髪の成長が妨げられるのです。男性ホルモンの影響を直接的にコントロールすることは難しいですが、皮脂の過剰分泌を抑えるためには、いくつかの対策が考えられます。まず、食生活の見直しです。脂質の多い食事や糖質の過剰摂取は、皮脂の分泌を促進するため控えめにし、ビタミンB群(皮脂の分泌をコントロールする働きがある)を多く含む食品(レバー、魚介類、緑黄色野菜など)を積極的に摂取しましょう。また、適切な洗髪も重要です。洗浄力の強すぎるシャンプーは避け、頭皮に優しいアミノ酸系などのシャンプーを選び、1日1回、丁寧に洗い、すすぎ残しがないように注意しましょう。ストレスや睡眠不足も皮脂の分泌に影響を与えるため、規則正しい生活を送ることも大切です。

  • 男性ホルモンを減らす食べ物あるのか

    円形脱毛症

    「男性ホルモンを減らす食べ物」というキーワードに関心を持つ方は、AGA(男性型脱毛症)やニキビ、あるいは過剰な性欲といった悩みと関連して情報を探しているのかもしれません。しかし、特定の食べ物を摂取するだけで、体内の男性ホルモン量を意図的に、かつ安全にコントロールすることは非常に難しいのが現状です。まず理解しておきたいのは、私たちの体内のホルモンバランスは非常に複雑で、多くの要因によって調整されているということです。食事もその要因の一つではありますが、特定の食品が男性ホルモンレベルに劇的な変化をもたらすという科学的根拠は、現在のところ限定的です。いくつかの食品に含まれる成分が、男性ホルモンの生成や作用に間接的に影響を与える可能性については研究されています。例えば、大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモンであるエストロゲンと似た構造を持つため、体内でエストロゲン様作用を示すことが知られています。この作用によって、相対的に男性ホルモンの影響を和らげるのではないかという説がありますが、男性の体内で実際に男性ホルモンを有意に減少させるほどの効果があるかは、まだ明確ではありません。また、亜麻仁(フラックスシード)に含まれる「リグナン」という成分も、フィトエストロゲン(植物性エストロゲン)の一種であり、同様の可能性が示唆されています。しかし、これらの食品を大量に摂取すれば男性ホルモンが確実に減るというわけではなく、過剰摂取は他の健康問題を引き起こす可能性もあります。逆に、男性ホルモンの生成をサポートすると言われる栄養素(例えば亜鉛など)の摂取を極端に控えるという方法も考えられますが、これは他の健康問題(免疫力低下、味覚障害など)を引き起こすリスクがあるため推奨されません。重要なのは、特定の食品に頼るのではなく、バランスの取れた食事を心がけることです。過度な脂質や糖質の摂取は、ホルモンバランスの乱れに繋がる可能性があるため控えめにし、野菜や果物、良質なタンパク質を十分に摂取することが、健康なホルモンバランスを維持するためには大切です。もし、男性ホルモンに関連する悩みがあるのであれば、食事だけで解決しようとせず、必ず医師に相談し、医学的根拠に基づいた適切なアドバイスや治療を受けるようにしてください。